反省+夕日=真っ赤な顔



本当に本当に……間違いだらけでごめんなさい。こんな俺は間違いなくヘタレ確 定です。





斑目の誕生日から何だかあやふやな関係になった。と、言っても身体の関係がで きたとかそういうのでは断じてなく……なんと言うかこれは…なんと言えばいい んだろうか。正直、自分も悩んでます。

真田は職員室でこれまた不思議な唸り声をあげ、何か悶えていた。それを見かけ た同僚教師の南が声をかける。
「真田先生。どうしたんですか?」
「……ぬー、ふぬー……」
声をかけられたことにすら気付いていない様子。南はもう一度真田に声をかける 。
「さ、真田先生?」
「……へ?あ、み、南先生っ。どどどうか、しましたか?」
真田は我に返り、いきなり横にある南の顔に驚く。
「ずっと変な声だしてたから、心配になって……もしかして斑目くんのことです か?」
と、天使の微笑みバリの笑顔でいう。
「えっ……はぁ……まぁ……」
と、少しだけ素直に答えてみる。
「斑目くんいい子ですよね」
「……へっ?」
真田はは変な声をあげた。いい子?どこをとってどこを見たらいい子になるのか 真田には見当もつかない。
「素直で純粋」
「……はぁ?」
言葉尻が疑問系になる。それを悟ってか南は
「ちょっと言葉が足りないんですけどね」
と笑った。こんなに可愛い人が(そうしかもちゃんと女の子)いるのに俺はどうし て斑目が気になるんだ。そして恋っぽい(まだ否定的)ことをしているんだ。頭を 抱えたくなる。そして自分に聞きたい。大丈夫か?と。
「はぁ………」
また溢れたため息。ここ何日で俺は一生分の幸せを吐きだしてしまった気分だっ た。
「……ない?」
「何が?」
「子犬、元気ない?」
「はっ?えっ………ぶはっ……」
物凄い声と物凄い音が職員室に響いた。
「……ばかだ。大丈夫?」
差し出された手を思わずはねのけた。
「な……なんでいるんだよっ!?」
「南先生に言われたから」
「何を?」
「元気づけてって……」
はぁと全身からため息が溢れた。悩みの元凶から元気を貰える訳がない。
「大丈夫。俺はいたって元気ハツラツだから」
「……うそ」
「は?うそじゃねぇよ」
「……素直も大事」
「……」
返す言葉が見つかりません。
真田は無視して自分の席に座り直す。そこではっとした。
(俺、今、斑目の手を…)
せっかく差し出してくれた手を思いきり振り払ってしまった。ちらっと顔を見よ うにも見えない位置にいる。どうしようかと焦っていたら
「……補習だから、行く」
「……お、おう」
おもいっきり動揺した返事で斑目を送る。振り返って斑目をみたが、背中からじ ゃどんな顔してるか想像もつかなかった。
あれから暫く考えた。けど、どう考えても自分が悪いというところに行き着く。
(謝ったほういい、よな)
そうだ。斑目も素直が大事ってたもんな。そういい聞かせどう謝ったらい いか考え…考えて、結局校門で待ち伏せすることにした。
荷物をまとめ、残る先生方に挨拶をし勢いよく職員室を飛び出す。

幸い、時間も時間で生徒はまばら。
(これなら大丈夫だ)
と、確認をし斑目を待つ。それにしても待ってる間というのは嫌なもんだ。考えなくてもいいことを考えたりして、ましてや嫌な思いをさせた奴を待ってるな んてばつが悪すぎる。真田はまたため息が出そうになったのをぐっと飲み込んだ。
「……なんで?」
「ぶっ…ごほっ……」
「何してるの?」
「おい、いきなり現れんなっ!むせちまっただろ!」
急に現れた斑目に驚き、またしても動揺しむせてしまった。それを隠すようにまた声を荒げてしまって―― ―から後悔。
(…何の為に待ってたかっんだ……素直に……)
真田は一つ咳払いをして斑目に言った。
「お前を待ってたんだよっ」
「ボク……を?」
「あー、あー悪いか!お前待ってたらっ」
「悪くない…けど槍が降る…痛いのはイヤ…」
「はぁ?なんで槍が降んだよ?降るわけねぇだろ?」
「今日……南先生が言ってた。起こりそうにないことが起こると……降るって…」
「はぁ?……そりゃ雪だろ?これだから―…」
まで言いかけて真田は会話を止めた。今、ここで馬鹿にするような言葉は不適切 だと考えたからだ。
「………ほらっ、帰るんだろっ!」
斑目に背中を向け、右手を差し出す。
「………」
「……恥ずかしいんだから早くしろよ!」
「……」
話しかけても反応のない斑目を振り返ると――――それは夕焼けのせ いなのか顔を赤くした斑目がいた。つられて真田も恥ずかしくなり強引に斑目の 手をとり歩きだす。
真田は繋いだ手が温かいのを感じて、相変わらずの無言の帰り道だったが何か… 前とは違って幸せな気持ちで一杯だった。