勘違い+綺麗な男の子=恋の始まり

そう、多分。あの時から恋に堕ちていたんだ。

……あんまり認めたくないけど。



「もぉー、ゴロちゃんプンプンだよー」
どこからみても女の子な男の子の悟郎が隣でめちゃくちゃ怒ってる。
「…悪かったって言ってンだろ!」
「マサちゃんのバカ」
「だって仕方ないだろ……目に入らなかったんだから」
そう口にして真田はうつ向く。その顔は頬を赤くしてまるで恋をしたかのような 顔。その表情を悟郎は見逃さずに突っ込む。
「そんなに瑞希カワイかった?」
「わっ、なっ、な……」
「ポペラキャワイー、マサちゃん」
とんでもない…のに見られてしまった、と後悔しつつ真田は赤くなる顔を止めら れない。



あれはほんの少し前。
二階堂と今度の寄席に行く話をしながら歩いていると目の前に現れた物凄い綺麗な人。
一瞬で心が奪われた、という表現が正しい。
真田はいてもたってもいられず二階堂を置いてその美人に駆け寄った。
そして何とか口説こうとしている時に置いてきたはずの二階堂に頭をこづかれた。
「何、生徒を口説いてるんですかっ」
それで我に返りよくみるとそこにいたのは悟郎と
「ま、だらめ?」



そして今に至る。
真田の隣で悟郎は冗談めかして怒っている。
「マサちゃん、恋しちゃった?」
「…なっ、ばかっ―そんなこっ―…とあるわけないだろっ!」
動揺した真田は説得力がまるでない。キャハハと笑いながら悟郎は楽しそうに走 り出した。そして真田に
「瑞希は攻略きびしーかもだけど、がんばってね」
なんて言葉を残していった。


「がんばれっ…て何をどうすりゃいんだよ」
真田は胸の高鳴りに気付き、そっと呟いた。